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マッドマンが活躍した20 世紀初頭のアメリカは
どんな国だったのだろう…


迷信と錬金術の時代が終わり、輝かしい科学の世紀が幕を開けようとしていた。ヨーロッパから新大陸アメリカへ、新しい新世紀の時代が始まろうとしていた。けれども都市はまだ暗く、発明されたばかりの電気も、弱々しく、闇の一部をほんのり照らし出すにすぎなかった。世界には、まだ悪霊たちが跋扈し、脅威に満ちた「発明」の数々ですら魔法じみた怪しさをまとっていた時代。私たちはそれをThe Twilight Age~「薄明の時代」と呼ぼう。

電気、写真、蓄音機、活動写真、レントゲン…。タイプライター、自動車、紡績機械…。やがて世界を変えていった輝かしい発明の陰には、 鳴りもの入りで生まれ、ひととき人気を博しながら、人知れず消えていった機械たちも数多くあった。新発明に対する過度の熱狂と過信が不幸な犠牲を生むこともあった。

また、輝かしい希望と同時に、不気味な未来を予見する物語も生まれ、警告を発信する人々もいた。「薄明の時代」は実に興味深く、刺激的な時代でもあった。マッドマンのマーダラスマシンも、そんな世紀の薄明の中から、こつ然と現れ、亡霊のように消えていった奇妙で悲しい発明品たちだった。

Photo of a steamboat passing
through the 12th street vascule drawbridge
on the Chicago River in Chicago.
Photo dates to between 1900 and 1910.